甘い魔法②―先生とあたしの恋―

進路



「ねー、この問題さー……」

「昨日の塾の資料コピーしてもらえる?」


夏休みが終わると、教室の中が急に受験モードに突入した。


うちの学校は商業科目もあって、2年に上がる時に商業科、普通科を選択できる。

それぞれ4クラスずつあって、商業科の生徒はその半分が就職で、残りの半分は大学なり短大なりに進んでいく。


「実姫はお父さんと話せた? 進路の事」


前の席に座る諒子に、参考書を片手に聞かれて頷く。


「うん。夏休みにね。けど、あたしの好きにすればいいって」

「なに、まだ放任な感じなの?」


諒子が驚いて聞いたのを、首を振って否定する。


「ううん。そういうんじゃなくて。自由にしていいよって事。

優しさで言ってくれたんだと思うけど……」

「進学で希望出してるんだよね?」


< 159 / 458 >

この作品をシェア

pagetop