甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「信じんなよ、そんな噂」


信じた様子の先生に少し戸惑いながらも安心して林檎うさぎごと手の中に包む。


「だって、不幸よりは幸せの方がいいじゃん。

あたし、カバン置いてくる。もうすぐ夕食くるし」

「あー、俺も上着置いてくるかな」


階段を上りだすと、すぐに後ろから上ってきた先生。


手に持った上着に、カバン。

帰ってきて部屋にもあがらずにあたしを待っていてくれたんだ……。


本当に心配して待っててくれたんだって思うと、申し訳なくなるのに嬉しくて堪らない。


にやけそうな口許を隠しながら、手の中のお守りをぎゅっと握りしめる。


冷たく感じる金属プレートに刻まれた言葉が存在を主張していて……。

嬉しい気持ちを少しだけ陰らせた。


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