甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「里子さん。こいつ、俺の彼女」


顎で差しながら先生が言った言葉に、あたしは慌てて口を開く。


「市川実姫です。はじめまして」


大げさに下げた顔をゆっくり上げると、あたしを見つめた目に驚きを浮かべる里子さんに気付いた。

瞳に浮かべた表情は、驚きから徐々に微笑みに変わり、うっすらと涙を滲ませた。


「そう……、ハルキくんの……」


あまりに感情深い表情を向けてくるから、どうしていいのか分からなくて、戸惑う事しかできなくて……。

曖昧な微笑みを返していると、先生が里子さんを見て呆れて笑う。


「んな感激するような事じゃねぇし。つぅか、見すぎだろ」

「だって、あのハルキくんに大切な人ができるなんて……」

「『あの』?」


あたしの疑問に、里子さんは明らかに『しまった』って顔をした。

続いて先生に視線を移せば、先生は素知らぬ顔をして目を逸らしてる。


……怪しい。




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