甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「落ち着けって。

ヤバいんだから大声で話せる話じゃねぇんだって」


俺の言葉に、昌じぃは少し辺りを見回してから、その視線を俺に戻す。

俺を怪訝そうに見る表情には、疲れが見える。


「昌じぃ歳とったなぁ。

俺が施設入った時はそんなシワだらけじゃなかったのにな」

「おまえが心配ばかり掛けるからだろ……。

あと、瞬の事で忙しかったからな」


50代にしては若く見えるのに、目尻には数年前より深くなったシワが目立つ。


最近は俺をはじめとする施設の関係者に悩まされているらしく、笑顔よりも若干ため息が多いように感じる。

とはいえ、歳にしては十分元気だと思うけど。


「ああ、瞬な。就職決まったんだろ?

なんか半端な時期だけどどこに決まったんだよ」

「それがな、驚くなよ?

……って今は瞬の話してる場合じゃないだろ。

ハルキ。まずは自分の心配をするべきだ」

「……大丈夫だよ。ちゃんと考えてるから」






< 3 / 458 >

この作品をシェア

pagetop