甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「うん。これから受験があったりするし、その先に楽しいイベントを作っておこうって話になって、それで。

実家に帰るのは、やっぱりお父さんひとりって少し心配だからだけど……」

「……1ヶ月ずっとか?」


話している間、市川はずっと俺の表情を探るように見ていた。

観察するようにずっと……。


そんな市川に疑問を浮かべながらも視線を返していると、市川は眉をしかめる。


「ずっとじゃないけど……、半月くらいはいないかも。……やだ?」


あくまで俺の意志を尊重するつもりなのか、市川はしきりに俺の様子を気にしてる。


この寮に住み始めて一年半。

そんな長い間離れた事がなかっただけに、不安はある。


正直に答えれば……、答えはイエス。

……―――でも。



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