甘い魔法②―先生とあたしの恋―


市川が何度も差し伸べていてくれた手を、無視してた。

市川の優しい気持ちを、俺への想いを、見ない振りして振り払ってた。


『市川に迷惑をかけたくない』なんて……。

市川は微笑んで手を伸ばしてくれてたのに―――……。



市川の踏みにじられた気持ちを想うと、ひどく胸が痛む。

と、同時に、俺なんかいつ捨てられたっておかしくないっていう、弱い気持ちが顔を出す。


正直、市川と顔を合わせるのが怖い気持ちがあった。



―――だけど。

もう、逃げないって決めたから。


俺自身の気持ちからも。

市川の瞳からも。



俺は、今で諦めたくないから。


だから―――……。







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