甘い魔法②―先生とあたしの恋―



教室の中は、いつも通り騒がしかった。

だけど、どこかしんみりして見えるのは、気のせいじゃないと思う。


みんな別々の進路に進む事を分かってるから。

笑顔を作りながらも、教室が寂しさで溢れてるみたいだった。


「あ、カメラ忘れちゃった! 

HR終わったらみんなで校庭出て写真撮るって言ってたよね? 諒子、持ってきた?」

「うん。ハルくんとのツーショットも撮ってあげるからね」


言われて、なんて返事をするべきか悩む。

卒業したんだし、もうこれで最後なんだから、そこまで注意する必要もないのかもしれないけど……。


「みんなが撮ってたらね。

あたしが卒業してもハルは残るわけだし、あまり目立つような事はしたくないし」

「それもそっか。でも、ハルくんも意外に泣くんじゃないかなーとか思ってたけど、泣かなかったね。

実姫が泣いてるのも涼しい顔して見てたし。

実姫はハルくんの涙って見た事ある?」

「……さぁ」


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