甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「うん。電話で」

「なんで電話? 直接起こしてあげればいいのにー」

「だって、あまり軽率な行動は控えたいし。

大体、ハ、ハルだって、もういい大人なんだからそれぐらい1人でできるだろうし」


やっぱりすぐには慣れない呼び名をなんとか言う。

名前を言う度にドキドキしてたんじゃたまったもんじゃないし、早く慣れて欲しい。


あたしの言葉に、諒子は「まぁ、バレたらそれこそ大変だもんね」なんて唸りながらパックジュースのストローを口に入れる。


「そういえば、馬場さー、未だに矢野センに少し気があるみたいだよ?

なんか矢野センに対してだけ、態度違うよね。あの先生、態度に出やすいから見ててバレバレ」


諒子が先生の呼び方を『ハル』から『矢野セン』に切り替える。

それはつまり恋愛トークが終わった事を意味していて、先生との事をこれ以上追求はされないんだと少しほっとする。


馬場先生……。

久しぶりに聞いた名前に、以前傷付いて肩を落とした馬場先生の後ろ姿が蘇った。

あの時はすっかり諦めモードだったけど……。



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