ブラウン管の中のあなたを見るたび、私はまた溜め息をつく
3月のある日、
高校卒業を間近にした私は、大学進学も決まり、ダラダラと過ごしていた。
「恵実ぃー今日要人君のドラマ入るわよ」
「ふぅーん」
一刻も早く、忘れたくて。
だから、要人のドラマを見ないようにした。
そうしたら、テレビを見なくなった。
「ふぅーんってあんた。こないだまでずっと一緒にいたじゃない。テレビくらい見てあげなさいよ」
お母さんがそう言うのも無視して、私は部屋へこもった。