鳥籠
「ねえ、朱はどれがいい?」
「どれでもいい」

誰だって一緒だ。
アキヒロじゃないんなら、誰だって良い。
バンドが上手くいくように、リーダーが選んでくれたら良い。

「そう。柚莉の押しは?」
「こっちかなー。声が好き」
「そうか? 俺、こっちの方がビブラート上手くて好み」
「でも、高音はこっちのが良いよね?」
「ルックスはどうせバラバラだから、基本どうでもいいけどさぁ」

あたしはぼんやり、窓の外を眺める。

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