他校の君。【完】



ー…
………

それから数日、


「一臣君の好きな料理は?」


一臣君の朝練が無い日は途中までだけど、一緒に登校している。

その時になると、あたしはこうやって一臣君に色々聞いている。


「肉じゃがとサンマの塩焼。後、カレイを甘く煮たやつ」

「和だね」

「和食好きなんだよ」


一臣君の好きな料理を聞いて、心の中にメモする。


「香澄は?」

「あたし?あたしはね~、お好み焼きとたこ焼きと、あ、サラダも好き」


駅までの道を並んで歩きながら、


「お好み焼きとたこ焼きってほとんど一緒だろ」

「え!全然違うよ!」


こう言う会話をするのって、結構楽しい。


「そうか?」

「そうだよ!」

「そっか」


あたしの言葉に頷いた一臣君にちょっと満足していると、一臣君の隣を車が一台通るのが視界に入った。

すると、あたしの頬が微かに赤くなる。


「香澄?どうした?」

「な、なんでもないよ」


微かに赤くなってしまった事を一臣君に気付かれてしまいあたしはますます赤くなる。

実は最近、並んで歩いてる時に一臣君に言われた事がある。


『香澄は道路側歩くな』


って。

なんで道路側か分からなくて、一臣君に聞いたら、


『大事な彼女に何かあったらどうすんだよ』


って。

大事な彼女、ってサラリと言った一臣君に思わず腰を抜けそうになっちゃったんだよね…。


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