他校の君。【完】


「ピンクの服ね。ピンク、ピンク…あ」


ピンクと何度も呟いてから何かを思い出したらしいお姉ちゃん。


「ゴメン。おとつい借りたんだった」


えへ、と可愛いく笑ったお姉ちゃんはそう言って庭の方に出て行った。

お姉ちゃんとあたしは身長があんまり変わらないからお互いの服をよく着る。

お気に入りの服だって貸しあう。

だから、勝手に着られる事に抵抗は全く無かったりする。


「はい。ありがとう」


綺麗に乾いた薄いピンク色の服を渡されて、ホッとすると、お姉ちゃんが一度瞬きしてからニヤリと笑った。


「香澄もデート?彼氏出来たんだ?」


あたしが返事をするより先に、今度紹介してね?と言われて、あたしはブンブンと勢いよく首を振った。


「違っ、デートじゃ…」

「オシャレしてるのに?」

「ち、違」


だって、一臣君に誘われた訳じゃないし、一臣君と二人で、って訳でも無い。

今日行くのは一臣君と武君と二人の親友らしい杉原君って男の子とその彼女さんと、みっちゃんの6人。

ちょっと話した事があるとは言え、知らない人ばかりだから、みっちゃんに頼んで一緒に遊びに行ってもらう事になった。

する予定だったテスト勉強はまた今度。


今日の事を思い浮かべてしまい、それにドキドキし始めた心臓を落ち着かせる為に、一度ゆっくりと深呼吸する。

断る筈だった今日の事。

でも、


(一臣君と遊園地…)


それにつられてつい、行くと言ってしまった。

一臣君に軽く見られちゃったんじゃないかと不安になる。

あたしが行くと言った理由は一臣君には分からない。

けれど、ほとんど知らない人と遊びに行くって言っちゃったんだもんなぁ。

我ながら大胆な事しちゃったと思う。


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