君は僕のお姫様  〜紫月妖怪退治〜
そのうちに貴族街にでも出たのか、周囲が石積みや垣根の通りに出た。

それを気にする様子もなく、そのしなやかな体躯を高々と跳ね上げる。

およそ人間業とは思えない跳躍を見せ、屋根よりも高く都の上空を舞う漆黒の影。

屋根を、木を、あらゆる物を足場にし、軽やかに敷地全てを飛び越えた。


幾邸もの上空を飛び越え、一際荒れた庭の一際高い槇の木の枝に止まった時、
「わぁ。凄い」
不意に下の方から声が挙がり、彼は慌てて振り返った。
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