Heavenly white

落ちる…


あっさりとこんなにも好きになるなんて
思ってもみなかった。

あんな女に惚れるなんてな。

可愛いからとかそんなんじゃない。

存在が俺を狂わす。

頭の中がアイツのことでいっぱいだった。

いつの間にかアイツのこと考えて、
悩んで、結局は恋をして。

桐生と話してると楽しい。

桐生の笑顔を見るとドキッとする。

桐生の声を聞くと振り返ってしまう。

桐生を見つけると声をかけたくなる。

そういう衝動に駆られる。

桐生はきっと俺を最低な奴としか認識してないし、
高山が好きだし、完璧俺は振られるけど
負けたくはなかった。

引き返したくはなかった。

俺が桐生にムカついてたのは多分、絶対に勝てない
高山が相手だったからだ。

いつも高山には勝てない。

「…朝練こんなとこでサボってんのか?」

グラウンドにある木の下でぼーっとしていた俺に
高山が声をかけてきた。

そういえば今日は朝練の日だ。

完璧忘れてた;

「おー…」

「堂々と部長にそんなこと言うなよ」

「うるせーよ」

「最近…後藤上の空だけど、なんか悩みあんの?」

直球すぎるな、うちの部長さんは。

「俺さ…やっぱ高山には勝てないな」

「なんのことだよ?」

「…全部」

「サッカーで俺に勝ったことあったっけ?」

「ねえよ?だから頑張ってレギュラーまできたんじゃん」

高山には才能があるし、俺が負ける要素なんてたくさんあるんだ。

でも…やっぱ桐生だけはやれねえや。

「お前はサボり癖あるけど人一倍努力する奴だ、いつか俺を越えてみろよ」

勝ち誇ったように高山は笑った。


桐生は高山のこんなとこにも惚れたんだろうな。

< 14 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop