一枚の壁
「あなたが私に会いに来てくれなかったら、私…
また違った考え方をしていたかもしれないわ。
国を憎んでたかも…」
『クリスティーナの親父さんは、戦争とナチスを憎んでるからな』
私はしばらく黙っていた。
「あなたが、
出征するとき…
私は笑って見送るわ!」
『君が婚約者で良かったよ(笑)
フリッツ・ゲートハルト大佐には、親が決めた婚約者殿がいたらしいんだ。
でも、大佐が軍人になった事で…
『いつ居なくなるかも分からない御方とは一緒にいられません。
このご縁談はなかった事に』と言われたらしい』
「それで、女性をとっかえひっかえに?」
『大佐はお寂しいんだろう』
「でも……」
『言い換えれば、大佐が元婚約者殿を深く愛していた故、だろうね』
「悲しいわ。」
『宿命だから仕方ないさ。』
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