煌めく青春を取り戻す、君と──
確信犯でありながらも、こんなにもドキドキしてる私は……確実に恋をしてしまったんだと実感する。

ヒロ君にまた会える―――そう思うだけで、仕事がはかどる気がするよ。

「カナちゃん、人の話を聞いてないでしょ?とりあえずまぁ、ヒロ君とやらに背景を二枚お願いしたからっ。明日、早速、面接に来るよ」

背景二枚?

対馬さん、そんな事を言っちゃったの?

マズイよ、それは……。

「対馬さぁん、ヒロ君には昨日、街でバッタリ会って……バイト探してたから、家政婦さんやってもらおうと思ったんです。何かね、良さげな人だったから……」

私は対馬さんにならハッキリと物事を言えるから、伝えたい事をキチンと伝える事が出来た。

対馬さんは驚いた顔をして、消しゴムかけをしていた原稿の上に……消しゴムをポロッと落とす。

「お、俺の知らないカナちゃんが居る……!!」

一生懸命してくれていた消しゴムかけの作業も手が止まる程、驚くのも分かる。

今まで一定の人としか付き合いをしていない私が、見ず知らずのヒロ君とやらに、電話番号を教えて、家政婦として招き入れようと言うのだから―――……

「昨日は対馬さんに会わなかったから、追々話そうとは思ってたんだけどね……、あの、その、……事後報告でごめんなさい」
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