煌めく青春を取り戻す、君と──
「……はい、アップルジュース。飲める?冷蔵庫にあった飲み物で、一番に胃に優しそうなモノなんだけど?」

「……有難うございます」

私は対馬さんからアップルジュースの入ったグラスを受け取ると……早速、口に含んだ。

アップルジュースなんて、私は買い置きしてないよね?

買い物にもなかなか行かないから、お取り寄せやネットスーパーなどで宅配を利用するのがほとんどなんだけれども……

アップルジュースなんて頼んでない。

対馬さんと福島さんの趣味じゃないし……きっと、ヒロ君が買って来てくれたのだろう。

ヒロ君は、朝食も考えてくれていて……

『ビタミンが少なくなるかもしれないけど…朝のフルーツをカットしておいたよ』

とか、

『サラダは明日の朝の分もあるからね』

とか……。

朝食を考えてくれただけで嬉しいし、申し訳ないのに栄養にも気を使ってくれている。

ヒロ君……ヒロ君……、

私の心の中で、こんなにも大切で愛しい存在になってしまうなんて……。

お互い、『恋愛感情を持たない』なんて……約束したのに守れないよ。

来る度に優しさがアップして、すんなりと心に入ってきてしまうのに……もう忘れる事なんて出来ないよ。

無理、だよ。

さぁ……、ヒロ君のお休み明けはどうしようね?

真実を伝えるべきか、否か。

いつか、伝えなければならない日が来ると思っていたけれど……

その日が近付いてきてるのかもしれない。

「……締め切り、間に合わないんじゃない?今回はお休みする?カナちゃん、疲れが溜まってるんだよ」
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