カタツムリの恋
[そういえば、七海達はD組なんだっけ]

朝礼が終わった。

・・・なんか嫌な予感がする・・・

「杏ーー!」

[やっぱり]

七海と慎也があたしのところまで来た。

「久しぶりだね」

「久しぶり。七海、慎也」

「杏はB組なんだね」

「うん。ってか、あんな遠いクラスからわざわざ来なくてもいいのに・・・」

「いいじゃん!会いたかったんだもん」

「・・・・・」

[やっぱりすごい見られてる]

昔からあたしと七海や慎也が話していると、みんなが見てくる。

あまりにも不釣り合いだから。

チラっと横を見た。

神谷くんはまた寝ている。

[よかった・・・]

それは、神谷くんにこんなとこ見られたくなかったから。

なんでか分かんないケド、神谷くんだけにはこんなとこ見られたら恥かしいんだ。



チャイムが鳴り七海達は教室に帰っていった。

次の時間あたしのクラスは自習。

もちろん静かにしているわけもなくて教室のなかはザワついている。

すると、複数の女の子達があたしに話かけてきた。

[今まで話かけてくることなんてなかったのに、どうしたんだろ?]

「ちょっと!あんた」

「な、なんですか?」

その女の子達は怒っているようだった。

「あんた、あの兄弟とどうゆう関係よ!」

あの兄弟・・・

やっぱり、不自然なんだなぁ

あたしとあいつらじゃ。

「べつに・・・いとこ同士なだけですよ」

「いとこ!?似てなーい(笑)」

「なんだぁ、いとこかよ!」

「まぁ、美形ないとこがいるからってお前が調子にのるなよ!」

「・・・・・」

[調子になんかのってないよ・・・]

だから嫌だった。

あたしは目立たない存在でよかったのに。

あいつらが来たせいで・・・

なんでこんな思いをしなきゃいけないの!?



女の子達に言われた言葉が、七海達への怒りへと変わっていく。

別に女の子達がいけないわけじゃない。

七海達がいけないわけでもない。

いけないのは、こんなあたし自身だ。

でも今のあたしにはそう思える余裕さえなかった。







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