君死にたもうことなかれ
ようやく二匹目。

正直、効率は良くない。

戦術を覚え始めた朱雀達の攻撃に、隊の誰もが苦戦は免れなかった。

俺もまた、一匹の朱雀にまとわりつかれて振り切る事が出来ない。

「待ってて刹那君!今援護を!」

舞姫がライフルの狙いを定めるが…。

「きゃあ!」

背後から飛びかかってきた朱雀によって体勢を崩す。

俺は俺で、構えた刀に朱雀が食いついてくる。

「……!」

眼前にまで迫り、爛々と輝く赤い眼を目の当たりにすると。

「…っっ…!」

群れによって啄ばまれ、俺の名を呼びながら死んでいった九条の姿がフラッシュバックする!

「おおおおおおおおおおっ!」

その光景で、『キレた』。

刀に食いついた朱雀に、そのまま突進して刃を押し付け、顎から頭部を両断してやる!

更にその突進を止める事なく、舞姫を襲っていた朱雀の喉元に切っ先を突き立ててやった。

「俺の仲間に…触れるなぁっ!!!!!」

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