時空少女

望まない解釈

しばらくして、沙柚がたどり着いたのはまるで五重塔のような色は赤と金が基調で近寄りがたい雰囲気をかもしだす塔だった。
塔の周りには、とくにものがあるわけではなかい。そこは森の中が切り開かれたようだった。それが余計に独特な雰囲気を醸し出していた。

「はあ………」

沙柚は溜め息でも感嘆の声でもないようなものがでた。
色彩は綺麗だが、不気味と言われれば否定できない気がした。

「怖いか?」

「……………少し。」

ここでお世辞にも、怖くない。などと言えるわけがない。

「くくっ。正直だな、あんた。まあ、たしかに外見だけなら仕方ねーけどなぁ。」

彼は、くつくつと笑って扉の前に立ち止まった。沙柚も後ろに立ちどまった。
門番すらいないのだろうか。辺りを見てもその姿は見えない。
扉はとても大きく、木製のお城の門みたいだった。朱雀をモチーフにした取っ手みたいなのが付いていた。
ノックするためなのだろうか。
沙柚がそんなことを考えていると、目の前の彼がバーン!と扉を開けた。
ノックしないの!?!?思わず突っ込みそうになった。
彼が歩き出し、中の様子がようやく見えた。

「なっなにこれ!?!?!?」

沙柚が驚くのも仕方ない。門を開けたその塔の中は、見た目とは裏腹にとても広かった。
中も、木製で赤が基調で、綺麗でどこかの城みたいだ。
見た目以上ではないか!

しかも、人ではないものたちがウロウロしている。
なんだこれは!?!?

口をあんぐり、と
開けたままでいると彼が振り返ってニヤリとその口元を怪しく上げた。
普通なら、格好いいその姿も今は、言葉がでない。

「焔天(えんてん)の塔へようこそ。翼天(よくてん)の女神。」

なんだこれ!
沙柚の頭は、これ以上にない衝撃でフリーズしたみたいだった。
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