(短編)フォンダンショコラ
だって、思ってもみなかったんだよ。

もう二度と、会えないと思ってた。

この恋心は、これで終わりなんだって、そう思ってた。
二度と息を吹き返さないまま、深く深く沈んでいくんだと。


けど、こうして会えたから。


また、笑ってくれたから。

詰られたって、怒られたって、仕方ないようなことをしたのに、優しく見つめてくれるから。


だからまた、息を吹き返す。


この気持ちは、嘘じゃない。


「なんで・・・別れたのか、その理由、教えてくれないか?」


でも、真面目で純粋なその瞳に、あたしも答えなきゃと思うから。

あの日を思い出にしなきゃ、この気持ちも、過去のままになってしまうかもしれないから。


ちゃんと、話そう。


そう決めて、口を開きかけたその時。


「あーっ!いた!」

いきなり、大声がした。

驚いて肩を震わせたあたし。直ぐさま後ろを振り向くと、

「あっ・・・。」

そこには、さっきラッピングコーナーで隼人の隣にいた女の子がいた。

ミディアムのフワフワと揺れるロングパーマ。大きい目。ミニスカートからすらりと伸びた足。

そのどれもが、若々しく可愛らしく見えて、なんだかいたたまれなくなった。


「勝手に走り出してどこ行ったかと思えば~っ。携帯何度も鳴らしたんだよっ!」

女の子は、大きい目を鋭く光らせて、あたしたちの前に向かって歩いてきた。だいぶ、怒っているらしい。

「悪い、チホ。」

隼人はバツが悪そうに、顔を曇らせた。

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