(短編)フォンダンショコラ
「そのかわり、12出勤な。」

「え、あ、ちょっと待ってください。」

そんなことが許されるんだろうか。

てゆうか、なんで?


「俺は店長だぞ?」

いや、わかってますけど・・・。


「とにかく、決定。」

そう言うと、店長はまた席を立った。


「14日は、特別な日だろ?色々ケリつけるには、いい日だと思うけど?」

その言葉で納得がいった。

そういうことか・・・。


「店長。」

「ん?」

「ありがとうございます。」

「いーえ。」


本当に、この人が上司でよかった。あたしは、改めてそれを実感した。















どこかで、諦めかけていた。

逃げていた自分を認めたくなくて、闘うことを避けていた。

だからあの日、再会した隼人に対しても、どこか逃げ腰だった。


再会する前は、このまま隼人と過ごした時間をどこかに抱えながら、一人で生きていくんだと思ってた。

それでいいんだ、と。



でも違う。



逃げたけれど、一度は諦めたけれど、再会できたことに意味があるならば、もう一度だけチャンスがほしい。


もう一度、あたしはあたしと闘いたい。

隼人に向き合いたい。


もう二度と、未来が隼人と交差することがないとしても、せめて最後に、あたしの気持ちをちゃんと伝えたい。


進むんだ。


もう、過去(むかし)にも現在(いま)にも、戻れないから。



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