イミテイション

過去


「はい、到着」

車から降りて、浜辺に立つ。

真冬の海はやっぱり寒い。
それに当たり前だけど、あたしたち以外にまったく人がいない。

とても誰かに暖めてほしくなってしまった。

さっきまで強がって冷めたフリしてたのになぁ…


「直人ぉ…」


「ん?」


「甘えてもいい?」


なんで自分からこんなに大胆なことができたのかは分からないけど、
返事を聞く前に体は勝手に直人に抱きついていた。


「トモから抱きつくなんてどうしたの?」


直人がまんざらでもなさそうな顔でそう言った。



それからはお互い無言で抱き合っていた。

この空気を壊しちゃいけないと思うから…

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