イミテイション

お誘い



直人が何を考えているのか、全くもって分からない。


結局彼は何をしたいんだろう。


誰かにこのことを話したいけど、そんな友達はあたしにはいない。


プライベートなことを秘密にするつもりは無いけど、誰かに言えるような真面目な恋愛が出来たことなんてないんだ。


たいてい付き合うのはお金欲しさに10歳以上年の離れた社会人か、適当にナンパされた軽そうな男だった。


そんな過去の話を真剣に、時におもしろそうに相づちを入れながら聞いてくれたのは直人だけだ。


結局あたしは、直人にしか自分の全てを出すことが出来ないんだよね。



そんな簡単なこと、何で今まで気付けなかったんだろう。


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