イミテイション

イミテイション


「俺たちってさぁ、ずっと近い距離にいたと思ってたのに…実際すげぇ遠かったんだよな」


直人はそう言ってあたしのことを抱き締めた。


「今まであたしが見てきたのが、偽物の直人だとしても、あたしはそれも含めて直人のすべてが大好きだよ。
だから、これからは強いとこも弱いとこもあたしには見せてほしい。
本物の直人を全部見せてくれる?」


「…もちろん。
もうお前も存在理由なんて聞かなくていいよな」


「え…?」


「だって本当に俺はトモのこと、求めてるんだから」

< 95 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop