My true love

移植






大翔の脳死判定から3日後

―2月2日―

例年に例をみない程積雪を記録している。

雪が大翔の悲しみを現しているかの様に、しとしとと降りしきっていた。




そして、ついに移植の日程が決まった。



―2月14日―

バレンタインデーであり私の誕生日。



2週間。


その間に大翔が目を覚ましてくれたら、こんなに嬉しい事はない。


生まれてからずっと背負ってきた病気が治るのは、何よりも嬉しい。でも愛する人の命をもらってまで生きたいなんて、欲張りはしたくない。そのまま死を待った方がいい。



私は、人の死を待っている側の人間。




子供の臓器を他人にあげたいなんて、思う親はそういないだろう。


大翔の両親は、臓器提供を承諾してくれた。








< 107 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop