Crazy Love
もちろん四六時中、芹のことを考えているわけではない。

でも、今日はやけに彼女を思い出していた。

それは理央が「和也、お誕生日おめでとう」と言った瞬間から。



───俺の脳裏に鮮明に蘇る3年前の記憶。

「和也くん、誕生日おめでとう」

芹は結局最後まで俺を呼び捨てには出来なかった。

いつも「和也くん」と、俺を包み込むような優しい声で……

初めて一緒に迎えた俺の20歳の誕生日。

俺たちは初めてキスをした。

震えるほど緊張したあの日。

彼女への想いを叫ぶように心臓が大きく脈を打った───


こんな気持ちの時に、理央と一緒にいたら俺はきっと理央を抱いてしまうだろう。

理央を彼女の代わりにして……

そして理央を傷つける。


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