Crazy Love
会っている間は、俺もいっぱい、いっぱいでなんとも思わなかったけれど、嫌いになって振った昔の恋人が、3年以上経ったある日突然、待ち伏せをするように自分の目の前に姿を現したら?俺なら笑顔で接することが出来るだろうか。

都合のいい見方かもしれないが、あの日俺に向けてくれた笑顔には、どう考えたって喜びや微かな愛情が含まれていたように思えてならない。

ただ単に月日が経って、彼女の気持ちが落ち着いたと言うだけの話と言ってしまったら、それまでだし、その方が可能性としては高いだろう。

しかし……

あの日の芹の変わらぬ笑顔や、「またね」と俺に握手を求めてきた仕草が、俺の心に引っ掛かる。


何故だか引っ掛かる……


俺は訳も分からずデパートを後にし、井の頭線方面に向かって歩き出していた。

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