Crazy Love
仕方なく、次の書店に行ってみようと雑誌を平積みの山に戻し、その場から移動しようとしたとき、凄い勢いで小さな男の子がこちらに向かって走ってきて

「ママ~! あったぁ~! ママ~!」

その子は俺が編集している雑誌を手に取り、たどたどしい言葉で嬉しそうに母親を呼んだ。

まだちゃんと喋れないんだ。かわいいな。何歳ぐらいだろう?

兄ちゃんのトコの子よりは小さいな。

あまりのかわいさと、雑誌を手にとってくれたことの嬉しさで、思わず俺はしゃがみ込んでその子に話しかけた。

「こんにちは」

あ、ちょっと怪しい人みたいかな

声を掛けておいてから、少し不安になった。

しかし、男の子は人見知りをすることもなく、俺に向かってニコッと屈託のない笑顔を返してくれた。

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