さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

頑張れと、そういわれた気がして、

レイラは体の奥底から力がみなぎるような感覚を覚えた。


勇気をくれたその人物は、すでに何事もなかったように前を向き

レイラに端正な横顔を向けている。

馬の歩にあわせて、艶やかな髪がさらさらと移動を繰り返す。


ひどく嬉しさがこみ上げて、

レイラは久々に自然と頬がほころんだ。


その花のような笑顔がしぼんで消えていくのに、

長い時間はかからなかった。


その日の夕刻、一行は目指すリア国城にたどり着いた--。



(つづく)

< 70 / 366 >

この作品をシェア

pagetop