【短】偽りのチョコ
マックの前に昨日と同じリムジンがスッと停まると、勇汰が乗り込んだ

さっきモモちゃんから聞いた携帯番号を助手席に座っているスーツの男に告げると、『住所を調べろ』とだけ命令した

「あの…何する気?」

「俺様が直々に処理をすると言っただろ。もう忘れたのか? お前の頭は鳥か? 三歩歩くと忘れるのか?」

「覚えてるわよっ。何で住所まで調べる必要があるのかって聞いてるの。モモから聞いた携帯に電話して、男と会って金を渡せばいいことじゃん」

「ああ? 何で俺様が、男に金をやる必要がある?」

「は?」

あたしは口をぽかんと開けたまま、勇汰を見つめた

昨日、車を壊したのはあんたでしょ?

その修理代をあんたが出すんじゃなかったの?

「お坊ちゃま、住所がわかりました」

「ん。んじゃ、そこに行け」

勇汰の指示に、スーツの男が「かしこまりました」と呟いて、運転席の男が静かに車を発進させた

「え? は? 家に行ってどうすんの?」

「処理してやる」

勇汰はニヤッと笑った

すごく楽しそうで、すごく残酷な笑みだった

な…何をするつもりでいるの?

嫌な予感がするんだけど…それはあたしだけ?
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