【短】偽りのチョコ
「馬鹿はそっちだ。本気で解放する気があるなら、同じ電車に乗らないで」

あたしは勇汰の胸を掴むと、背伸びをして唇を奪った

電車の中でキスをしたのは、あたし自身初めての経験だった

恥ずかしいと思うよりも先に、行動してて…はっと気付いた時には、勇汰の手があたしの腰に回っていた

離れようとしたあたしの唇を噛んできた勇汰が、あたしの口を割ると、舌を滑らせてくる

中学3年の男が、そんな技を持ってるなんて反則だ!

あたしの全身が熱くなると、勇汰の身体に寄りかかっていた

「逃げ道はもうないぞ」

「逃げ道なんていらない」

「上等だ。まずは、学校をサボるか?」

勇汰の言葉に、あたしは勇汰の後頭部を叩いた

「中学生は真面目に勉強しろ」

「馬鹿高校生に言われたくねえよ」

勇汰がにやりと笑うと、また小難しい本に目を戻した

バレンタインデーの前日、偽りのチョコをあげた

バレンタインデーの翌日、嘘が真の恋心に変化した








【短】偽りのチョコ

       終わり
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