【KK2】 お化け団地






「……で、どんな状態?」




「かなりの出血があり、意識レベルが低いです」






看護師からの言葉を聞きながら、急いで処置室へと向かった。






そして、処置室に足を踏み入れた瞬間だった。







―― リーン……








一瞬、忙しく処置をしていた研修医や看護師の声や処置の音が、消え……透明感のある鈴の音色が聞こえた。




聞こえたと言うより、響いた。




頭のずっと奥の方から響いてくる感覚。






すぐさま、横たわる患者に目を向けた。








呼ばれた……と思ったからだ。






その途端、視界がグニャリ…と歪んだ。




ヤバイ、倒れる……。






辺りが回る感覚の気持ちの悪さに目を瞑った。




そして、そのまま意識を手放そうとした瞬間……






意識がほとんどなく横たわっているはずの患者の頭が、こっちを向き柔らかく微笑んだのを見た。









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