ハニードハニー
　彼は私にとって特別な人、大切な人だから。

　スタッフの合図と共にステージに出る私。

　この歓声を聞くとステージはすごく盛り上がっていることに気付く。

　今歌う曲は私の曲の中でもアップテンポな曲だ。

　息を吸い声を会場内に響かせる。

　体を大きく動かしステージ全体を自分のものにするポフォーマンス。

　バックのバントには負けない、私のステージ。

　今すごくこのステージを楽しんでいる。

　歌うことがすごく好きだ。

　それだけが伝わればいい……。

　ふと見た観客席に彼を見つけた気がした。

　そんなはずはないのだが、このたくさんの人から見つけれることなどまずない。

　なのに、彼が笑顔でこのステージを見ている気がした。

　そう思うとまた、胸が締め付けられる気がする。
< 94 / 96 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop