花よりも美しく


呼び止められて、月子が振り返る


「あげるよ」

「・・・・・・百合?」


真っ白な百合の花を、一輪だけ受け取る


「ごめん・・・」

「・・・・・・ありがとう、ございます」


百合を片手に歩いていく月子を見送って、忍は弟子たちの待つ和室へと向かった






久しぶりに電車に乗ると、揺れが大きいと思う

いつも乗ってきた車は、怖いくらいに静かだったから

人の声なんて、聞こえてくるはずもなかった


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