花よりも美しく


姉の影に入り、眩しすぎると、目を逸らした

その結果、彼女の手には何も残らない


「園村の家は、好き?」

「・・・・・・・・・どうして、そんなことを聞くんですか?」

「・・・逃げ出したいなら、俺が連れ出してあげてもいいよ?」


理生の言葉に、月子は固まる

逃げ出したい?


「そう思ったことは、ないです」

「一度も?」


頷く月子に、理生は悲しみのこもる瞳を向けた


「じゃあ、今は?」


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