花よりも美しく


『はい!日野です!!』


電話に出た父は、ひどく慌てた声だった


「お、お父さん?月子だけど・・・」

『月子?・・・今日だったか、お前が来るの?』

「そうだけど・・・。もしかして、仕事中?」


日々仕事をし続ける父だが、その給料の大半が、母の入院費に消えてしまう


「家に帰ってないんだね」

『あぁ。今日も帰れそうにないんだ・・・』

「ううん、いいの。大丈夫。無理しないでね?」


電話を切って、月子は放心したようにため息をつく


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