超短編 『ヒーロー』 2
ニュータイプ
俺は昔から、ヒーローに憧れてきた。

子供の頃から、テレビの特撮やアニメのヒーローになりたいと願ってきたのだ。


小学校での作文にも、将来はヒーローになって地球を守りたいと書いた。

友達や先生は笑った。が、その気持ちにウソはなかった。

中学から高校に入る頃には、正義の味方としての刑事や弁護士にもなりたいと思ったりした。

しかし、心の底では変身できるヒーローになりたいとずっと思っていた。


大学卒業が間近になり、就職活動をしているときに、ある会社から案内が届いた。

その会社の名前は『株式会社ヒーロー派遣サービス』といい、業務内容はその社名通りにヒーローを派遣することだった。


俺は、早速その会社を受け、何とか就職することができた。


入社初日には、配属先が決められた。

俺の配属先は、庶民守護課。つまり、弱者である庶民を不正を働く権力者から守るためにヒーローを派遣する部署だった。

そして、俺はヒーローになるべく訓練と改造手術を受けた。

ヒーローになるためには、やはり改造手術は必要なのだという。改造後の自分の姿を見たときは驚いたが、すぐに慣れた。

意外と自分でも気に行ったし、変身ができるというので、それで十分納得できた。

会社会社にとっても、新しいタイプのヒーローだと言われ、俺は大きな期待と少しの不安でドキドキしたが、夢が叶うことを考えれば嬉しい気持ちでいっぱいだった。


そして、厳しい訓練も無事に終え、ヒーローとして生まれ変わった身体にも慣れたころ、いよいよヒーローとして派遣されることになった。


秘密のコードネームは『AKO』。


そして変身のときには鏡を使い、唱える呪文は『テクマクマヤコン』。


ニュータイプのヒーローの出動だ。


いや、ニュータイプというより、ニューハーフか。

「いや~ん。頑張るわ、ア・タ・シ」





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