[短編]彩華
鏡を覗く。

目鼻立ちのよく整った、異邦の女「きょう」がいた。

口紅を拭い取る。

白くて、細い指を見つめた。

私は商品だから、いつでも美しく華麗で、儚く在らねばならない。

訳ありな異邦人たちによる遊廓、あやばな。

私は、そこの花形の一人として働いている。

本意なんてどこにもないが、拾われたのだから、仕方がないというもの。

私は、北の異邦人との合いの子らしい。

今でこそ、雪のように白い絹肌が私の売りだが、そのため、幼い私を周りの目から隠し通すことは難しかった。

母は、私を泣く泣く捨てた。

恨んではいない。
ただ、現実が、憎い。

(これは、母を憎む感情なのか?)

わからない。

ただ、身寄りも、金もない身だ。

世に出たところでどうしようもない。
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