正夢、誤夢
『甘い!甘すぎるぞ!佐奈氏!!!折角夢を自分の支配下におけるというのに!
あたし、もう注文しちゃったもんね~ヘッヘッヘッ。これこそ2次元と3次元の突破口と言うのが、まだわからんのかね!!
嗚呼、これで毎晩会える!愛すべきキャラクターたちに!!夢が現実に!!
…やべっ、ヨダレが。』


―そうだった。こいつ、オタクだ。






佐奈にとって、忘れもしない高1の夏休み。まだセミがミーンミーンとうるさかったのを覚えている。夏休みの課題をやるという目的で由紀と一緒に図書館へ行ったら、まさかのお盆休み。
行く宛もなく、由紀の家が図書館から2駅のところにあったため、場所を変更して由紀の家へ行くことにしたのだった。

と、いきなり妙に焦りだす由紀。

『あっ、あのぅ…』

『ん?なに?都合悪かった?』

『ち、違うんだけどぉ…』

なにやらモジモジしだす由紀。

『なに?エロ本隠し忘れたとか?』

『ちょ、違うから!それはぬかりない!!』

『あ、エロ本は持ってんのね…』

予想外の返答に思わず苦笑い。

『あ゛』

墓穴った、と凹む由紀。

やれやれ、とフォローに回る佐奈。

『あたし、人様の趣味とかとやかく言うの好きじゃないし、何があってもよっぽど引かないよ?
でも自分の生活空間に人をあげるのが嫌なら、ハッキリ言っていいよ。それなら今日は帰るし。』


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