現実アクションゲーム
「上城蓮様。この度は、ご参加ありがとうございます」


香里の声だ。よく聞くと、香里の声は何だか機械のようで、気味が悪い。


「香里さん?参加って、何が?どこだよ、ここ?」


「蓮様が今立っておられるのは、ゲームの中となっております」


「え?ちょっと、何言ってんの?」


鼻で笑いながら、蓮が聞き返す。


「では、ルールを説明します。まず、蓮様の腰に、一本の剣を装備してあります」


「え?」


その香里の言葉に、蓮は自分の腰を見た。


確かに、帯剣している。いつの間に……


「また、蓮様の上には、HPが表示されています」


今度はその言葉に、蓮は上を見た。


「何だ、これ……」


自分の頭上に、フワフワと数字が浮いている。


透明な薄緑の、デジタル数字だ。100と書いてある。


気になり、数字に触れてみようとする蓮。


……が、透き通って触れない。


「HPがゼロになりますと、死を意味します。ゲームオーバーで、現実の世界でも死んでしまいます。また、モンスターはその剣で倒してくださいませ。蓮様の先には、様々なアクションが待ち受けております。楽しんでくださいませ」


「ちょっと、香里さん?さっきから、何言ってんのかわかんねぇよ」


蓮がそう言ったとき、突然目の前に大きな扉が現れた。


「うわっ!」


それに驚き、尻餅をつく蓮。


「香里さん?何、この扉?」


ツー、ツー……


電話は、切れていた。
< 5 / 132 >

この作品をシェア

pagetop