SHINE and STAR
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きょろきょろ。
おかしいな、などと思う。
別におかしくないのだけど。

きょろきょろ。
あれあれ、と首を傾げる。
だからおかしくはないのだけど。

シルク「……えと、」

────青い青い晴天。
曇りない海原は燦々と太陽を輝かせ、白い影が入る隙間を作らせない。稀に吹く北風も、陽気な空気に溶け合ってすがすがしい。

……とか。どこかで聞いたような言葉で今を表現をしてみる。けれども、私の頭上の?マークは必死に別れを拒むのだった。

────前へ後ろへ左へ右へ。
陽光が真上から注ぐ時頃でもあり、老若男女の流れが喧騒を生んで町を盛り上げる。
最も賑わった通りには、声を張り上げて流れを捕まえる人たちの姿。赤や黄の際立った色の果物に、新鮮で瑞々しい緑の野菜などを売り捌いている。
……出店だ。
売手が持ち前のセールストークで客を引き抜き離さず商売敵と睨み合い、対して客は少しでも得をしようと品を吟味し粘って値切る。
このような小さな戦いがあちこちで展開される中央通り。町の活気は、このような商売戦争が源となっているに違いない。

……とか。町の営みを私なりに表現してみるけれど、首は傾いだまま動かない。

アレイド「どした、シルク」

そんな私が不可思議だったのだろう。
傍らのアレイドは少し心配そうに様子を尋ねてきた。

シルク「ぇ、あ……えと、」

心配される程の事じゃない。
ただ、今の今まで住んでいたこの国の町を、異国の地としか思えない自分がいるだけなのだ。

私がまだ外を歩けた頃、町は賑わいとは少し離れたあまり活気のない様子だった。と言っても暗い町だった訳ではなく、元気がなかっただけ。
そう、今私のいるこの町が、はしゃぐ子供のように元気すぎて昔が色褪せているだけ。

シルク「少し、驚きました。以前の町とはかなり違うようで」

見渡せば景色の違い。
道行く人波はより多く、楽しそうで嬉しそうな笑顔がいくつも流れていく。
建物は立派に背を伸ばし、もしくはふくよかになって町の成長ぶりを裏付ける。

それに、そんな町の様子を見てると自分まで楽しくなる。久しぶりだという事も理由の一つだけど、今の私はちょっとしたお祭り気分なのだった。

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