秘密の恋の始め方

千沙ちゃんはにっとありえないぐらい口角を引き上げて笑って、

「いやだって、さっきあんたたち馬鹿みたいに目立ってたじゃないの。もう無理じゃない?」

「っう、うわーん! 千沙ちゃんの馬鹿ーっ!」


寝転がったまま地団太を踏み鳴らしたあたしは、うるさい!と千沙ちゃんに一喝されたあげく、軽く踏まれた。


……見上げれば、ポスターの中からカナタが天使の微笑を惜しげもなくあたしに振りまいてくれていて。

それで若干、というかかなり気分が浮上してしまったあたしは、きっとちょっと終ってる。



< 21 / 218 >

この作品をシェア

pagetop