秘密の恋の始め方

「絶対あいつはくるって言ったらくるんだよー! やだー千沙ちゃん! あたしの平穏な高校生活が!」

うわーんと学食のテーブルに突っ伏したあたしを、きっと千沙ちゃんは冷めた目で見下ろしているに違いない。
でももういいんだ。なんだって。

だって、あの奏太が! 

あいつと一緒にいたら平穏な生活なんて無理だ。

そう悟ったのが中学三年の秋。あたしはそれから必死こいて勉強して、あたしの頭にとっては割りと難関だったここ、全寮制の三沢学園に入った。
それから1年。

「去年は平和だったなー。せっかく2年生に進級できたのに! もうこれで終わりだっ……」

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