妖怪愛物語




庭へ出ると、来たときとなんの変わりも無い桜の木があった。



私が近づいていると、木の上から狐さんが降りてきた。



「待ってたぞ」



いつもと同じ笑顔を私へ向けてくれる。



でも、次に笑顔を向けるのは私ではなく桜さん。狐さんはきっと知らないんだろうけど。



「あのね、今日は蓮華に話があるの」


「何だ?行きたい場所でもあるのか?」



私は、首を横に振る。



「私ね、もう蓮華の知ってる私じゃなくなるんだ。次に会うときは、きっとそうなっているから・・・・さよならだよ蓮華」


「何・・・いってるんだ?」


「さようなら・・・蓮華」



そういった瞬間、私の周りは光と煙でいっぱいになる。






< 146 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop