紅蓮--Requiem--
第一部 ナラクのプレリュード

1

 心の奥底へ沈めた悲惨な記憶は、いつも私に苦痛を与える。果てのないその痛みは、私を放してはくれなかった。私はあの日のために、永遠に苦しみ続けなければならないのだろう。


 あの日はずっと、濃い霧がかかっていた。その霧は、何か隠すかのように日の光を遮っている。

私は、足下に気をつけながら少し歩いた。大きな建物の前に着く。ここは私が通っている高校、小宮森高校だ。

いつもと変わらないはずのその校舎も、今日はひどく不気味に見えた。

これから始まる恐ろしい出来事を、暗示しているかのように…。
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