Blood†Tear

5人の力により、無事に馬車は溝から抜け出した。


レオンは疲れたと地に座り込み、イースはリオンに駆け寄った。
木に背を預けるクレアは考えるように地を見つめる。



 「本当に助かりました。何と礼を言ったらいいか……」


コウガの手を握るシェノーラは彼に礼を言い馬車に駆け寄った。。


 「申し訳ありません。今は時間が無くて……この礼は次回お会いした時に」


馬車に乗り窓から顔を出してそう言うと頭を下げ、馬車を走らせ行ってしまった。





 「また次回って、もぉ会わねぇだろ」


座り込んでいたレオンは欠伸をしながら立ち上がる。
大きく伸びをしていると…




 「ハァ、何とか間に合いそうですね」


 「それは良かった」


背後からの安心した声に反射的に答えるが…



 「……って、え!?」


少し考えた後素っ頓狂な声をあげた。
と言うのも、馬車に乗った筈のジークが此処にいるからである。


 「何で此処にいるんだよ!?」

 「いや~、置いて行かれたみたいですね」


 「置いて行かれたって…」


指を差し言うレオンに対しニコニコと他人事の様に言うジーク。
そんな彼に呆れた様子のレオンは頭を掻く。



 「まぁ、御礼もしなければなりませんし、お嬢様の元までの案内人と言う事で、ね、コウガさん」

 「え?…と言う事は、これから一緒っていう事?」


突然話を振られ、驚きながらも直ぐに反応した。


 「そうですけど、もしかして、嫌ですか?」


 「否、そういう訳じゃなくて……」


助けを求めるように目を泳がせる。レオンは断れとい表情で訴え、イースは話を振るなとそっぽを向く。リオンは気の毒にと眉を寄せ、ぼーっとするクレアは話すら聞いていない。


 「ジークが一緒なら、助かるよ」


引きつった笑顔でそう言うと、ジークはニッコリと微笑んだ。



 「じゃあ、宜しくお願いしますね、皆さん」


静かな森の中、彼の元気な声だけが響くのだった。


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