Cashe Cashe

並木道と愛言葉




幼い頃 並木道で両側の木を数える二人
君のほうだけ一本多いから
ラストは君の声で締めていた

君と何度も交した約束も
今じゃ約束の理由の意図をたどっている
君が好きだった孤独な曲
今じゃその理由も少しずつ胸につく


私たちの言葉の意味は周りと違っていた
二人だけの合言葉
『ありがとう』は気休めに近い過去
『ごめんね』は結ばれた糸をほどく今
『バイバイ』は君と別の道を歩む未来
ラストを締める君の声は
お節介なものまで私にくれた


お揃いのリップクリーム
今じゃ唇が乾いたまま
君の家まで走る自転車
今じゃその錆びた音さえ聴くことがない
かき消すことのできない君との想い出は
いつも澄んだ色の湖のよう

徒花が咲く並木道
華やかなじゅうたんの上で
一人 木を数える
君の最後の声はもう聞こえないけど
君の余韻で私は微笑む
散りゆくものが背中を押してくれる



もうしばらくはこの歌を歌いたくない
『ありがとう』の意味を探すのなら
『ごめんね』と言われたあの日から
『バイバイ』した者とは違う光の道へ
やっと空を見ることができる…

悲しみに暮れる日なんてあるなら
この並木道を歩く人々を見てみよう
そこに君がいるのなら
合言葉じゃない『ありがとう』を


2010,02,19


< 25 / 47 >

この作品をシェア

pagetop