魅惑のヴァンパイア
「……そうだ」


「私、ヴァンパイアにはならない」


 ――そう言われるような気はしていた。


けれど理由を聞かずにはいられなかった。


「なぜだ。人間のままでいたら、あっという間に歳を取り、死んでしまうのだぞ?」


「……私、死にたいの」


 心臓を鋭利な刃で突かれたような衝撃だった。


「死にたい?」


胸がドクンドクンとうねりを上げていた。


「ヴラドの側に……居たくないの」


真っ直ぐに見つめられた瞳。


大きな瞳からは、清涼な涙が今にも零れ落ちそうだった。


 ……泣く程に嫌か、俺の側にいることが。


俺の側にいるくらいなら死を選ぶのか。


それ程まで俺のことを憎んでいたのか。
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