魅惑のヴァンパイア
†第四章† 死の呪い

すれ違う恋心

「遅いな、ヴラド」

 
空は闇に覆われていた。


最近いつも遅い。


飽きられちゃったのかな……。


自然とため息が漏れ出した。


冷たくなっていく外の景色を恨めしそうに見つめながら、体育座りをして体を丸めた。


眠気に耐え切れず、布団に潜り込んだ。


夜中に来ないなんて初めて。


一日もヴラドに会えないなんて。


忙しいのかな? 疲れちゃったのかな? 


それとも……もう私なんて用なし? 


今日は、誰とベッドを共にしているの? 


あの……綺麗な女の人?


 目を閉じると、まるで現実のようにありありとその情景が浮かんだ。


 やだ…やだ……やだよ……。


 どんなに嫌だと思っても、私にはヴラドの行動を抑制する権利がない。


どんなに求めても、求められることはないんだから……。


 考えれば考える程涙が出てきた。


拭っても、拭っても溢れてくる涙に愛想を尽かし、涙の跡ができても放っておいた。


そしてそのまま、眠りに落ちていた――
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